クレームを「信頼回復のチャンス」に変える—グローバル経営者に学ぶ3つの対応術

| | ,

こんにちは、金田博之です。
今月の「金田博之オンライン勉強会」(金田博之公式LINEで毎月無料ご案内)は、「グローバル経営者から学ぶクレーム対応術」をテーマに、対話形式で深掘りしました。この記事では勉強会の要点をかんたんにまとめます。以下に、今回の動画をそのまま視聴できるように埋め込みますので、ぜひチェックしてください。

今日の流れ(ダイジェスト)

参加者のお悩みの声は、「上層部が出てくる大きなトラブルへの向き合い方が難しい」「何から話を始めるべきか迷う」「社内の巻き込みが遅れて対応が遅くなる」「早く動くと精度が落ちるのが怖い」「感情のコントロールが続かない」などでした。
勉強会では、まず「クレーム=信頼回復と関係強化のチャンス」と定義し、トラブル対応を“守りではなく価値創出の場”として再解釈しました。次に、最前線で効いた具体策として、①最初に“聞く”姿勢を示す、②相手の“先の相手”まで想像して話す、③事実確認と同時に素早くエスカレーションする、の3点を共有しました。
Q&Aでは、最初の一言の作法、夜間・休日のインシデント時に崩れない動き方、社内カルチャーとしてのオープンコミュニケーションの作り方、サッカーのミッドフィルダーのように「自分が抱え込まないで全員で進める」イメージなどを扱いました。

3つのポイント(全体像)

今回の視点は、「自己防衛」と「信頼回復」の対比です。自分を守る説明より、信頼を回復し関係を強くする行動に軸足を置きます。

  • 傾聴設計:まず相手に“全部話してもらう”土台をつくる。
  • 相手基点:相手の先の相手(川下)まで想像して言葉にする。
  • スピード&巻き込み:事実確認と同時に即エスカレーションで全員戦にする。

1. 傾聴設計:まず相手に“全部話してもらう”土台をつくる。

なぜ大切か:怒りや不安は情報より先に出てきます。そこに蓋をしたまま説明しても届きません。先に気持ちを受け止めることで、事実整理と解決提案が通りやすくなります。
どんな工夫が必要か:最初に「まず状況を最大限理解したいので、今日は最初にすべてお聞かせください」と明言し、遮らずに要点をメモします。謝意・謝罪・共感・確認の順で短く区切り、相手の言葉を要約して返します。
どう実践すると良いか(たとえ話):圧力鍋は、まず蒸気を抜いてからフタを開けます。感情の圧を抜けば、中身(事実)に安全に触れられます。

2. 相手基点:相手の先の相手(川下)まで想像して言葉にする。

なぜ大切か:クレームを出している方の背後には、現場・顧客・経営・期限・評判などの“川下”が存在します。そこへの影響を理解していると伝わるだけで、同じ提案でも信頼の重みが変わります。
どんな工夫が必要か:「今回の停止で貴社の○○部門やその先のお客様に○○の影響が出ているはずだと受け止めています」と具体化し、復旧と再発防止の双方を“相手の業務”の言葉で説明します。謝罪は「相手の先」への配慮を込めて行います。
どう実践すると良いか(たとえ話):ドミノは一枚だけを見ても倒れ方は読めません。倒れる先を見て支えを入れると、被害は小さくできます。

3. スピード&巻き込み:事実確認と同時に即エスカレーションで全員戦にする。

なぜ大切か:遅れは不信を増幅します。個人で抱えるほどボトルネックになります。早さは“雑な即答”ではなく、“正しい人をすぐ集める”ことです。
どんな工夫が必要か:初動で事実の一次切り分けをし、同時に関係者(技術・サポート・上長)を一斉に巻き込みます。更新間隔を決め、「次の報告は○時」と先に宣言します。初動報告は“わかっていること/未確定なこと/次のアクション/次の時刻”の4点で揃えます。
どう実践すると良いか(たとえ話):サッカーのミッドフィルダーは、ボールを止めずに素早く味方へ配ります。自分で長く持たず、全員で前進させます。

—(補足・具体例)—

・最初の一言の例:「本件でご不便をおかけして申し訳ありません。まず現状を正しく理解したいので、最初にすべてお聞かせください。私からは要点を要約し、確定事実と次のアクションを○時までに共有します。」
・夜間・休日の初動:当番表と連絡網を固定し、グループスレッドで“4点報告”をテンプレ化します。未確定情報は“仮説”と明示します。
・社内カルチャー:良い話だけでなく“悪い話が早く上がる”状態を良しとする方針を繰り返し示します。上司は“指摘”より“支援要請の早さ”を評価します。

おわりに

明日から使えるクレーム対応は、特別な言い回しより「順番と姿勢」です。傾聴設計→相手基点→スピード&巻き込みの3ステップを回すほど、信頼は回復し、関係はむしろ強くなります。最初は完璧でなくて大丈夫です。型を守って練習すれば、必ず楽になります。

そして、金田博之YouTubeチャンネルでは、毎回のオンライン勉強会で私がお話しした内容の30分程度のダイジェスト版を公開しています。実際の勉強会では、この内容に加えてQ&Aや対話の時間もあり、より具体的な悩みを一緒にほどいていきます。以下に、今回の動画をそのまま視聴できるように埋め込んでますので、ぜひチェックしてください。
▶ 金田博之Youtubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/@hiroyukikaneda

金田博之オンライン勉強会は毎月無料で開催しています。カメラオフでも気軽に参加できます。次回のご案内や資料の配布は、金田博之公式LINEでお知らせしています。よろしければ、登録して最新情報を受け取ってください。
▶ 金田博之公式LINEはこちら:https://www.hiroyukikaneda.com/Line-Account/

Previous

人生100年時代の“続けられる健康”——ビジネスで結果を出し続ける3つの設計

睡眠マネジメントで人生が回る—「量」と「質」のどちらを上げるかを見極める3つのコツ

Next