こんにちは、金田博之です。
2026年9月18日をもって、Zscalerの日本代表を退任いたしました。
送別会の夜に感じたこと、この5年9か月で大切にしてきたこと、そして次の旅への想いを、みなさんにお届けします。
今日の流れ(ダイジェスト)
長く一つの役割を務めたあと、「この先、組織は大丈夫だろうか」「実績は残ったけれど、本当に誇れるものは何だったのか」「お別れの言葉は、どう伝えればいいのか」——そんな問いが、心のどこかに残ることがあります。送別会の席でも、言葉がうまく出てこないほどの気持ちが込み上げてきました。
これらの声を踏まえ、今回の記事ではまず、送別会と5年9か月の記憶を振り返ります。次に、数字ではなく「人と文化」で引き継げたことの意味を整理します。最後に、お客様・本社・日本チームへの感謝と、次の挑戦への向き合い方をお伝えします。
3つのポイント(全体像)
退任にあたって私が大切にしたいのは、「実績」と「人と文化」の対比です。市場規模や数字は確かに結果ですが、安心して場を離れられる理由は、そこにはありません。誇りに思っているのは、リーダー陣と人材、そして自分たちでつくってきた文化です。
この記事では、次の3つに整理します。
- 持ち歩く感動:送別会をはじめ、忘れられない瞬間を次の旅の糧にします。
- 人と文化で引き継ぐ:数字より、組織が自分で前に進める力を残します。
- 感謝と次の旅:出会いに礼を尽くし、挑戦を楽しんで歩みます。
1. 持ち歩く感動
なぜ大切か
5年9か月のあいだには、たくさんの思い出があり、ドラマがあり、心から感動した瞬間が何度もありました。特に、日本のチームが開いてくれた盛大な送別会の光景は、一生忘れません。準備してくれた一人ひとりの気持ちが伝わってきて、正直、言葉がうまく出てきませんでした。こうした感動をきちんと受け取ることは、次の一歩を軽くするためではなく、これまでの時間を大切に扱うために必要だと感じています。
どんな工夫が必要か
退任や異動のときは、忙しさのあまり「次」ばかり見てしまいがちです。私は、送別会の場で感じたこと、チームが集まってくれたこと、準備の裏側にあった優しさを、そのまま持ち歩くと決めました。うまくまとめようとせず、言葉にならない部分も含めて、全部を持って次の旅に進みます。
どう実践すると良いか(たとえ話)
山登りでいえば、頂上の写真だけを残すのではなく、途中で一緒に歩いた人の声や、息が上がった坂道の感触まで覚えるようなものです。スマホのアルバムに残る一枚より、体に残る感覚のほうが、次の山に向かうときの支えになります。私にとって送別会は、まさにその「体に残る感覚」でした。
2. 人と文化で引き継ぐ
なぜ大切か
何よりありがたいのは、最高の状態で引き継げることです。日本は、Zscalerグローバルで3番目に大きな市場になりました。ただ、本当に誇りに思っているのは実績ではありません。この組織には、素晴らしいリーダー陣がいて、優秀な人材がいて、そして自分たちでつくってきた文化があります。これからの日本を前に進めていくのはその力であり、だからこそ私は安心してこの場を離れられます。
どんな工夫が必要か
引き継ぎで意識したのは、「自分がいないと回らない状態」を残さないことです。人が育ち、リーダーが判断でき、文化として「挑む、信じる、楽しむ」がチームの中に根づいていること。数字の達成以上に、そこが整っているかどうかを見るようにしてきました。誇りは結果の一覧表ではなく、組織が自分の足で歩けることに置く——その感覚が、退任を静かに受け入れる支えになっています。
どう実践すると良いか(たとえ話)
マラソンのリレーに近いと思います。自分の区間で自己ベストを出すことも大切ですが、次の走者にバトンをしっかり渡せるフォームのほうが、チームとしての記録につながります。私が誇りに思うのは、バトンを受け取ってくれる仲間がいること、そしてその仲間がすでに自分の走り方を持っていることです。
3. 感謝と次の旅
なぜ大切か
お客様、パートナーの皆様には、私たちを信じ、時に厳しく鍛えてくださったことに、心から感謝しています。今の日本があるのは、皆様が一緒に歩いてくださったからです。Jayをはじめとする本社のエグゼクティブチーム、世界中の同僚たちには、日本を信じ、支え続けてくれたことへのありがとうを伝えたいです。そして日本のチームへ。この5年9か月でつくってきたものは、すべて皆さんの力です。挑む、信じる、楽しむ。この先も、そのまま進んでいってほしいと願っています。
どんな工夫が必要か
お別れのときは、寂しさだけを膨らませないことです。地球は大きいですが、世界は狭い。きっとまたお会いすると思っています。そのときはお互いが笑顔で、仕事も人生も楽しんでいる、最高の姿で。そうやって再会できるなら、今日のお別れは、きっとお互い寂しくありません。一方で、私のこれからの道は再び挑戦的で、決して楽ではありません。だからこそ、一つひとつ着実に、そしてその挑戦自体を楽しんで歩いていきます。次の旅については、時期をみて、またこの場でご報告します。
どう実践すると良いか(たとえ話)
サーフィンに似ているかもしれません。波が終わっても海は続きます。岸に上がって終わりではなく、次の波を待つ時間もある。退任は「終わり」ではなく、次の波に乗るための切り替えです。うまく乗れる保証はありません。それでも、波を楽しむ気持ちだけは手放さずにいたいと思っています。
—(補足・具体例)—
ご一緒させていただいたすべての方への感謝と、一人ひとりのこれからの応援は、肩書きや役職が変わっても変わりません。一緒に過ごした時間への礼は、これからも持ち続けます。
明日からの一歩
役割の区切りや、次の挑戦の手前にいる方へ。明日からでもできる、小さな一歩です。
- 感謝を一通残す:お世話になった人に、短いメッセージでも「ありがとう」を伝えます。
- 引き継ぎを一つ整える:自分が抱えている仕事や判断のうち、渡せるものを一つだけ明確にします。
- 次の一歩を楽しむと決める:まだ全体像が曖昧でも、「楽しむ」を今日の姿勢にします。
おわりに
退任は、数字の締めくくりではなく、人と文化への信頼で場を離れられるかどうかを問われる瞬間でもあります。私は、送別会で受け取った感動を持ち歩き、日本チームの力を信じてバトンを渡し、出会いに感謝しながら次の旅へ進みます。