【長編第4章】外資系トップエリート?? のリアルなうつ体験談:「長距離走型」の思考法を身につける

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明日に不安を感じる多くの方への希望にささげます。

私は過去にうつ病にかかったことがあります。しかしその後、当時よりも大きな責任ある仕事に預かり、大きなプレッシャーにも打ち克ち、そしてうつ病になった部下を何度も再生させることができるようになりました。なんせ自分自身がうつ病になったわけですから、その兆候、対策、そしてその人の立場にたって親身に考えることができるのです。今では企業にお声がけいただき、講演する機会もあります。

欧米のMBAでは「メンタルヘルス 」を扱うクラスがあり、しかもそれが増えています。私も ➡INSEAD大学でメンタルヘルスについて講義を受けたことがあります。この分野はある程度の理論武装も必要で、MBAで取り上げられるくらいですから、リーダーになる人は必須知識です。もちろん、リーダーを目指さない人もその予防として。

実際に、企業の前線で仕事する人の生のメンタルヘルス体験を聞く機会はなかなかないでしょう。だって、それを言うことはその人にとってリスクなこと。他人ごとのように言うことなら言える人はいます。それだけ、自分自身、コラムにすることは自分が公衆の面前で裸になるくらい恥ずかしいことであり、またそれによるリスクも考えられます。しかしながら、当時の私と同じように悩んでいる人のお役に立てるなら、私の体験談も浮かばれます。

そんな思いで当サイト初めての長編になりますが、私の生々しい体験談、予防方法、克服方法をお伝えします。随所に「金田の人生戦略ノート」のコラムを入れていますが、これは私が今でも続けているノートから抜粋した内容です。(➡人生戦略ノートについてはこちら)

それでは、前回に続く第4章です。

 

目次 (下記太字は本日の範囲)

1. 「できる人」ほどうつ病になるリスクが高い
2. 攻めはよくても「守り」が圧倒的に弱かった
3. 「過信」が原因でストレスコントロール不能に
4. 本人は「異様な変化」に気づかない
5. まさか自分が!?
6. 瞬間にしてすべてを遮断される
7. 本当に辛いときに助けてくれる人・応援してくれる人は宝
8. 人は誠実に生きていけば必ずいいことがある
9. アクセルだけでなく、ブレーキも踏もう
10. 「長距離走型」の思考法を身につける
11. 上司を主体者に変える
12. 部下を主体者に変える
13. ストレスノート
14. メンタルヘルスのその後
15. 最後に

 

「長距離走型」の思考法を身につける

上述の「賢すぎる、軽く決める (受け答えが早い)」についても、その対策を考えました。

私が接してきた言葉に重みがある人、発言に無駄がない人は、長距離型でしっかりと先を見据え考え抜くことが習慣づいている人。だからいろんなパターンに会話を適用できるし、さまざまな角度から会話を膨らませることができます。そして何よりもタフです。私が経験した辛い体験よりももっとヒドイ体験をし、それを一つ一つ乗り越えている。

一方言葉が浅はかな人は、短距離型で一気に結論や仮説を立てようとします。これが当時の私です。どうしても発想が小手先に走るし、話すストーリーに戦略性や一貫性が欠けてしまう。そして短期的な結果を追求し、突発的な事件に振り回される。結果、そのストレスが蓄積し、バーンアウト(燃え尽き)です。

前者を「長距離走型」の思考法と言うことにしました。「長距離走型」の思考力を鍛えるのはタフなことです。だって、その分先のことを深く考えないといけないから。でも、うつに入った私には長い先のことをじっくり深く考える十分な時間がありました。

そういう時間を作ることが重要であることがわかりました。こうして思考がどっしりすると、細かいことに振り回されることが少なくなり、ストレスが分散できます。

仕事をしていると頭の汗をかくことがあります。実際には物理的な汗ではないのですが、考えて、考えて、考え抜いた時にかく見えない汗。悩みやアイデアがあれば、それを繰り返し、繰り返し考えてみる訓練をぜひしていくといいです。自分が考えぬいて「これ以上出てこない」と思った状態が臨界点で、そこからもうひと踏ん張り、頭から考えを絞りだして、何か一つでも新しい何かを発見できたらそれが汗に変わる瞬間です。

こればかりは技術やテクニックはありません。ただひたすら訓練していくだけです。 思考の新陳代謝がよくなれば、必ず大きな成果が発揮できるようになるはずです。

苦しいとき。苦しさを経験しない人は深みがありません。人の気持ちにも立てない。だから苦しい経験、ひきこもりたいくらいのつらい経験、いいじゃないかと思います。恥ずべきじゃない、引け目を感じる必要はありません。

一旦スイッチを切り替えて、辛坊するのです。その辛坊に慣れてくると、すると何かに目覚めたように集中力が高まります。これが「割り切り」の瞬間。そういうことを何度か経験していくと、苦労の仕方にも何かの美学が芽生えてきます。

苦しいとき、その立ち直り方を”魅せよう”じゃないか」。
南場智子さんの本で共感したメッセージです。

これからつらいとき、苦しいときがあっても この気持ちでがんばっていこうと思っています。

ちなみに最後の「いいように使われている(器用貧乏)」は、使われても相手の役に立たないよりはマシと思い、今のところは念頭に置く程度にしています。

金田の人生戦略ノート: メンタルヘルスの4つのケア方法
INSEADで学びましたが、メンタルヘルスには「4つのケア方法」があります。
①セルフケア、②ラインケア、③健康スタッフ、④社会/病院(外部資源)の活用

特にセルフケアが重要です。セルフケアをしているのにバーンアウト(燃え尽きる)していく傾向が全体の8割。リーダーとして自分のセルフケアはもちろんのこと、メンバーがセルフケアをしている兆候を早期に発見することが重要です。

 

上司を主体者に変える

今こうして成長した自分が当時の自分に伝えたいアドバイスがあります。

一つは上層部から無理難題の仕事を与えられたときの対応、もう一つはそれでも上司の指示を断ることができない時の組織メンバーへの対応です。

上層部も好き好んで部下(当時の私)を追いやろうとはしません。なぜならその上司にも同じ責任があるからです。

大きな目標、無理難題を言われる前提には、大きな期待がかかっているわけです。そして無理難題を頼む上司は必ず罪悪感を感じているものです。きっとその上司も過去には何らかの無理難題を与えられ、その修羅場を越えて今に至っているはずです。

だからこそ、上司からの依頼にあっさり「できません」と断ることは、自分の成長のチャンスを逃すことにもなります。一方、安易にその依頼を受け、下手にやせ我慢してしまうと当時の自分の「崩壊」が始まります。

そこで以下の工夫があります。

  • その目標に向けて自分に何が足りないかを整理し、その内容を上司に相談する(変なプライドを持たないこと)
    逆に、自分ができることはとことん責任感を持ってやりきります。
  • そしてお互いのアクションを明確にして、なるべく細かい頻度でホウレンソウを回す(上司を主体者として巻き込む)
  • 上司をその目標を達成するために不可欠な現場(営業の場合は営業商談、コンサルタントであればプロジェクト)に「アドバイス」を受けるために同席してもらう(上司を主体者として巻き込む)
  • その上司が責任を放棄した場合は、大きな決断のとき。そのさらに上の上司に相談する
  • それでもその上司がダメダメだったら、それを反面教師にして自分の成長材料につかう(やむなく転職も含めて判断)

それでもどうしようもならない時はできるところまでやりきってみる。途中で逃げ出さず、やりきることで得られる成長は計り知れないものです。少なくともその過程で自分の状況を上司と共有しておくことが重要です。(自分の状況を伝えてくれないと上司は何をしてあげればいいかわからないからです)

ここでの期待効果は以下のとおりです。

  • 自分に足りないことを上司に相談することで、自分が何をすべきかがはっきりする
  • 上司はアドバイスをした手前、間違ったアドバイスをした際に必ずヘルプしなければならない状況に追い込まれる
  • 上司に現場の一部をサポートしてもらうことで上司もその無理難題に巻き込むことができる(主体者に変える)
  • 上司も巻き込みつつ、その目標があまりにも厳しい条件とわかれば、目標変更や他部門の支援など様々なサポートを得られる
  • 自分自身がその上司の立場になった時の対応力が身に付く(なぜならその上司もその部下の目標をかぶっているから)
  • やりきることで、次に同じような状況に陥った時に自分ができる限界を知ることができる

こうして、無理難題を過去に克服してきた上司を主体者に変え、巻き込み、そしてその経験を吸収するのです。その結果、目標に仮に達成しなくてもあなたは大いに評価されることでしょう。

金田の人生戦略ノート: 人間関係を「仲良し」にしない
上司との関係において、良好な人間関係=仲良しではありません。その関係を維持しようと思いすぎると過剰に気をつかいます。これがストレスの原因を生み出します。職場での人間関係はもちろん相互の思いやりが重要ですが、目標達成をベースにした協働関係と支援関係でもあるのです。そのためには、同意よりも「共感」が重要です。同意する=賛成することではないからです。ここをはき違えると、後々上司との関係を悪化させます。上司との関係構築において意識しておきたい点です。

 

部下を主体者に変える

そして二点目。今度は部下に対してです。

私が当時与えられた状況をそのまま部下に押し付けると当然ながら反発がきます。

まずあなたが自分の上司から無理難題を与えられた時、その上司に対して「自分にどうしてほしいか?」を明確にします。それと同じことを部下に対して行ってあげることです。

部下も、その上司から無理難題を突きつけられた被害者です。ダメな上司は上から言われたことをそのまま下に落とす上司です。「とにかくこれをやれ!」と。これではただの伝書鳩です。自分の言葉(つまり自分の意思)に咀嚼できていないのです。

そこで以下のような工夫があります。

  • 部下には今自分の組織に与えられた状況、およびミッションをできる限り前向きに伝える
    ➡ 気持ちはネガティブかもしれないが、上司がネガティブに話すと部下は当然ネガティブに動き出す
  • その上で部下と個別に面談。その中で部下ができる事/できない事をお互い明確にし、部下にはできることを責任もって実行してもらう、上司のあなたは部下にできないことを支援する。部下はできることに集中。この進捗をできる限り安定稼動するまで細かく個別面談で進捗確認する。
  • 部下が「できない」ことを何でも上司が引き受けるのではなく、努力すればできること(つまり「できる」「できない」の真ん中にある「できそうなこと」)は極力部下が実行するように促す(部下を成長させる目的で)。その上でその領域は重点的に進捗確認し、適宜サポートする
  • その後の進捗確認で、部下がうまくいった成功体験(アーリーサクセス)を上司はなるべく具体的に褒める。そして次のアクションを部下と合意する。特にこうした状況においては、部下を褒めて自信を持たせ、その成功体験を次の活動に再現させることが重要
  • 部下の成功体験を他の部下にも共有(例えば部門全体会議にて)。不安の中でも、一人ひとりが小さな成功体験を重ね(それが可視化され)、そして横断的に再利用されれば組織は大きく成長する

ここでの期待効果は以下のとおり、

  • 部下のやる気を促進する (辛い中でも小さな成功体験を導いてあげる)
  • はなから部下には「ダメだ」と諦めさせるのではなく、「できること」「努力すればできること(ストレッチゴール)」まで「分解」してあげ、行動を促す。これにより小さくても成果が一つ一つ現れてくる
  • 組織がその困難を克服し、さらに大きな目標設定がされた際も、「頑張って達成しよう」という組織文化が醸成される
  • 部下の実力を早期から見極めることができる (場合によっては人員配置を判断する)

どんな困難な状況でも、上司が諦めたらそれで終わりです。スパゲティ状態になった複雑性を一つ一つ紐解き(分解し)、成果を着実に導いていくのです。自分自身が苦しい状況になった時に離反していく部下、ついてきてくれる部下。自然と結果は分かれます。

金田の人生戦略ノート: メンタルヘルスとリーダーシップ
職場の高ストレスによるメンタルヘルス不全は日本のみならずグローバルに年々増加しています。これらを①未然に防ぎ②早期発見し③早期に対策/改善することを念頭におかなければならないです。その点リーダーとして、①未然に防ぐためのメンバーとのコミュニケーションがとても重要です。部下の表情の変化にしっかりとアンテナをたてましょう。相手の表情にこわ張りや今までにない疲労が見られたらすぐにその人と話すことです。これは、一個人としても同様で、できる限り一人で抱え込まず、周囲と話す環境を作っておくことがとても重要です。

 

次頁に続く。いよいよ最終章です。メンタルヘルスを自力で予防する方法。そしてメンタルヘルスその後について言及します。

 

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今日も明日も、あなたにとって、私にとって、よい一日でありますように!

お互い切磋琢磨していきましょう。

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