【長編第1章】外資系トップエリート?? のリアルなうつ体験談:「できる人」ほどうつ病になるリスクが高い

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明日に不安を感じる多くの方への希望にささげます。

私は過去にうつ病にかかったことがあります。しかしその後、当時よりも大きな責任ある仕事に預かり、大きなプレッシャーにも打ち克ち、そしてうつ病になりかけた部下を何度も再生させることができるようになりました。なんせ自分自身がうつ病になったわけですから、その兆候、対策、そしてその人の立場にたって親身に考えることができるのです。今では企業にお声がけいただき、講演する機会もあります。

欧米のMBAでは「メンタルヘルス 」を扱うクラスがあり、しかもそれが増えています。私も ➡INSEAD大学でメンタルヘルスについて講義を受けたことがあります。この分野はある程度の理論武装も必要で、MBAで取り上げられるくらいですから、リーダーになる人は必須知識です。もちろん、リーダーを目指さない人もその予防として。

実際に、企業の前線で仕事する人の生のメンタルヘルス体験を聞く機会はなかなかないでしょう。だって、それを言うことはその人にとってリスクなこと。他人ごとのように言うことなら言える人はいます。それだけ、自分自身、コラムにすることは自分が公衆の面前で裸になるくらい恥ずかしいことであり、またそれによるリスクも考えられます。しかしながら、当時の私と同じように悩んでいる人のお役に立てるなら、私の体験談も浮かばれます。

そんな思いで当サイト初めての長編になりますが、私の生々しい体験談、予防方法、克服方法をお伝えします。随所に「金田の人生戦略ノート」のコラムを入れていますが、これは私が今でも続けているノートから抜粋した内容です。(➡人生戦略ノートについてはこちら)

 

目次 (下記太字は本日の範囲)

1. 「できる人」ほどうつ病になるリスクが高い
2. 攻めはよくても「守り」が圧倒的に弱かった
3. 「過信」が原因でストレスコントロール不能に
4. 本人は「異様な変化」に気づかない
5. まさか自分が!?
6. 瞬間にしてすべてを遮断される
7. 本当に辛いときに助けてくれる人・応援してくれる人は宝
8. 人は誠実に生きていけば必ずいいことがある
9. アクセルだけでなく、ブレーキも踏もう
10. 「長距離走型」の思考法を身につける
11. 上司を主体者に変える
12. 部下を主体者に変える
13. ストレスノート
14. メンタルヘルスのその後
15. 最後に

 

「できる人」ほどうつ病になるリスクが高い

私は競争の激しい外資系IT企業であるSAPに新入社員として入社し15年、後半はマネジメントを経験してきました。今では日本の優良企業である新規事業を任されています。そして、上司や部下、友人や家族に囲まれてとても充実した人生を送っています。

変化が激しく、人材が流動する外資系企業には15年間いること自体が珍しい体験でした。グローバルトップ2%に7年連続で選ばれ、毎年目標の100%を達成、平均年収をはるかに超え、33歳には念願の戸建てを建築、プライベートではこれまで8冊の書籍の出版、そして様々なメディアに出ております。ちやほやされもしました。

そんな私をエリート、完璧、欠点が見つからない、などと形容する人がいます。一見、順風満帆、誰もが憧れる出世街道を渡っていると、これまで接してきた多くの人が私にそう話しかけていました。でも、現実はそうではありません。(表題のとおり、私がエリート??ではない理由は最終章で説明します)

まずは、そんな私の裏話である「」についてお話します。

金田の人生戦略ノート: メンタルヘルスになる/ならないは「紙一重」
うつ病になりやすい人は、真面目、几帳面、がんばり屋、責任感が強く、他人への配慮を人一倍するような人と言われています。この傾向は「できる人」に見られるものです。つまり、「できる人」はストレスによるリスクが相応に高いということです。
私の場合は体調に「異変」を感じても、「忙しいことによる疲労だから仕方がない」程度に考えてました。
そのまま回復して、もしかしたらメンタルヘルスにならなかったのかもしれません。しかし、疲労に加えて、周囲の環境(人間関係など)、急な仕事のトラブルなど、「悪い偶然がたまたま重なって」それが発生しました。めちゃめちゃ元気で、仕事大好きでいつも忙しい私だからはっきりと言えますが、メンタルヘルスになる・ならないは「紙一重」なんです。
少しでも「自分は結構いける」と思う人は確実にその対策を身につけておくべきでしょう。

 

攻めはよくても「守り」が圧倒的に弱かった

それは私が当時の会社でマネジメントを経験するようになった30代の時のことです。それまでの私は、新規事業の立ち上げ、新規ビジネスモデルの立ち上げとその実績を評価され、とんとん拍子で出世してきました。私はトップの期待とともにやる気にあふれていました。

しかし、当時の会社の内情にふれることになるので詳細は割愛しますが、「大失敗」をし、自分の組織にも、会社にも大迷惑をかけました。初年度は何とか目標を達成しましたが、その翌年に与えられた目標売上が前年対比600%増ととんでもなかったのです。計算すると一四半期で昨年の年間分の数字を達成し、それを毎期継続しないといけません。完全に打ち手なしの状態から、何とか結果を出そうと走り回っていました。

詳細は言えないのですが、会社も、私自身も経験したことがない新しい事業モデルを推進していたのですが(これを「ハイパーチェンジ」と言います)、何をするにも初めてのことが多く、想定外の出来事が多発しました。元を正せば、自分自身の計画と実行の詰めの甘さに起因しているのですが、功を焦りすぎました・・・その分、ストレスが相当蓄積されていたのでしょう。

でも、そんなことは自分自身にとって日常茶飯事のようなことで、メンタルヘルスになるほどの大きな原因ではなかったはずです。昔はどんなストレスにも耐えることができたはずが、責任の大きさに比例して自分の体の限界を超えるほどそれが大きくのしかかるものだったとは。

私は仕事のスキル(攻めのスキル)を上げていく一方、ストレスに対する耐性スキル(守りのスキル)を上げていくことを怠っていたのです。今では、当時よりももっと責任ある仕事をしていますが、耐性スキルを相当強化して実現できたことです。耐性スキルにはいろいろありますが、例えば「細かいことに動じないスキル」や「困ったら周囲にうまく相談し巻き込むスキル」、あるいは「ストレス発散スキル(流すスキル)」です。

耐性スキルがないと予測不能な大きな責任・大きな仕事に簡単に潰されます。耐性力の大きさ=自分の責任のキャパです。これなくして、昇進ができない・責任ある仕事ができないと言っても過言ではありません。今では「口だけでかくて、でかい仕事がいざくると簡単に潰れるんだろうな」「(うまい言い訳を作って)責任放棄するんだろうな」と思う人がすぐ見分けられます。

金田の人生戦略ノート: ハイパーチェンジ
様々な外部環境から企業が変革を求められる時代において、その職場環境も今後の展開が予測しづらいくらいに劇的に変わります。INSEADで学んだメンタルヘルスの領域では「ハイパーチェンジ」と呼んでいました。だからこそメンタルヘルスは組織変革に切っては切り離せない重要なテーマになっています。ちなみにハイパーチェンジの特徴は、変化が大きいことではなく、「目新しさ」と「予測不能」な点にあると講義で学びました。

 

「過信」が原因でストレスコントロール不能に

当時の私は耐性スキルの低い人間でした。「逃げ出したい」と思ったことが何度もありました。しかし、人前では決してそんな表情を見せず、結果的に逃げ場を失ってしまいました。「弱音を吐かないこと=過信」でした。今だからこそ言えますが、自分の過信が原因で、結果的に自分に大きな災いとなって降りかかることを当時は知る由もありませんでした。

こんな状況でチームのモチベーションもがくんと落ちましたが、それでもがむしゃらに目標に向けてガツガツと活動していました。でも自分のプライドが邪魔をして誰にも相談できない、部下に相談するわけにもいかなかったのです。

過去の成功体験に安住し「今回もなんとかなる」と思っていました。これが過信です。自分一人の力でなんとかなる状況ではないことに気づかなかったのです。まさに「茹でガエル」状態でした。茹でガエルって、水の中にいるカエルが水の温度を上げてもそれに気づかず、ついには沸騰して死んじゃうんです。完全に周りが見えない状態です。

自分に「できること」と「できないこと」がごっちゃになり、上司や同僚に相談しようにも内容が複雑でどうにも説明できませんでした。その複雑さは、自分の手に負える範囲を大きく超えていたのです。ずるずると一人で抱え込むようになってきました。

仕事において全てを一人でやることはできません。必ず、各分野の専門家がいますし、会社においては支援組織があります。個人であれ、組織の長であれ、「自分/自部門でやること」「周囲の人/他部門に依頼すること」をしっかりと整理できない人は、自分の管理範囲内(キャパ)では仕事ができても、それを超えた大きな仕事や大きな仕掛けができません。私の場合はそれで潰れた。当時の私は、そんなことができないくらいに感覚がマヒしていました。頭ではわかっていても…それでも「自分でなんとかしよう」と思っていたのです。

金田の人生戦略ノート: 「プラスのストレス」をコントロールできない
日常生活でストレスと無縁であることは難しいです。従ってストレスをなくすのではなく、ストレスをコントロールする考え方が重要になります。INSEADの講義では「プラスのストレス」という言葉を学びました。プラスのストレスは「自分で変えられるもの」。自分で変えられるからストレスでも楽しく感じてしまう。一方、マイナスのストレスは「自分で変えられないもの」。自分で変えられなければストレスは自分への負担に変わります。ストレスに対しては自分で「変えられるもの」と「変えられないもの」に分けて対策を打つべきなのです。変えられないものをいかに周囲に相談したり、巻き込んでいくか。自分にとっては「変えられなマイナスのストレス」でも、他の人に出会うとっても同じとは限りません。よく話をし、相談していくとそれが「変えられるプラスのストレス」かもしれません。その見極めをやることで、自分にとって困難な仕事を楽しんで行うことができるようになるのです。

 

➡️ 次頁に続く。次回はいよいよ自分に起きた変化についてです。

 

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今日も明日も、あなたにとって、私にとって、よい一日でありますように!

お互い切磋琢磨していきましょう。

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