【長編第2章】外資系トップエリート?? のリアルなうつ体験談:本人は「異様な変化」に気づかない

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明日に不安を感じる多くの方への希望にささげます。

私は過去にうつ病にかかったことがあります。しかしその後、当時よりも大きな責任ある仕事に預かり、大きなプレッシャーにも打ち克ち、そしてうつ病になった部下を何度も再生させることができるようになりました。なんせ自分自身がうつ病になったわけですから、その兆候、対策、そしてその人の立場にたって親身に考えることができるのです。今では企業にお声がけいただき、講演する機会もあります。

欧米のMBAでは「メンタルヘルス 」を扱うクラスがあり、しかもそれが増えています。私も ➡INSEAD大学でメンタルヘルスについて講義を受けたことがあります。この分野はある程度の理論武装も必要で、MBAで取り上げられるくらいですから、リーダーになる人は必須知識です。もちろん、リーダーを目指さない人もその予防として。

実際に、企業の前線で仕事する人の生のメンタルヘルス体験を聞く機会はなかなかないでしょう。だって、それを言うことはその人にとってリスクなこと。他人ごとのように言うことなら言える人はいます。それだけ、自分自身、コラムにすることは自分が公衆の面前で裸になるくらい恥ずかしいことであり、またそれによるリスクも考えられます。しかしながら、当時の私と同じように悩んでいる人のお役に立てるなら、私の体験談も浮かばれます。

そんな思いで当サイト初めての長編になりますが、私の生々しい体験談、予防方法、克服方法をお伝えします。随所に「金田の人生戦略ノート」のコラムを入れていますが、これは私が今でも続けているノートから抜粋した内容です。(➡人生戦略ノートについてはこちら)

それでは、前回に続く第2章です。

 

目次 (下記太字は本日の範囲)

1. 「できる人」ほどうつ病になるリスクが高い
2. 攻めはよくても「守り」が圧倒的に弱かった
3. 「過信」が原因でストレスコントロール不能に
4. 本人は「異様な変化」に気づかない
5. まさか自分が!?
6. 瞬間にしてすべてを遮断される
7. 本当に辛いときに助けてくれる人・応援してくれる人は宝
8. 人は誠実に生きていけば必ずいいことがある
9. アクセルだけでなく、ブレーキも踏もう
10. 「長距離走型」の思考法を身につける
11. 上司を主体者に変える
12. 部下を主体者に変える
13. ストレスノート
14. メンタルヘルスのその後
15. 最後に

 

本人は「異様な変化」に気づかない

周囲の力が得られない中(むしろ自分でそうさせていた中)、自分のパフォーマンスの低下とともに周囲の視線が冷たく感じました。でも実際はそうではなかったのです。むしろ応援する同僚や先輩がたくさんいたのです。しかし、当時の私にはそれに気づく余裕がなく「被害妄想的」に悪いほう、悪いほうに物事を考えていました。だからそう錯覚しました。

この辺りから、自分らしくない「変化」があったのです。その頃から、朝起きると極度のダルさや頭痛を感じるようになりました。私はその頃飲みが多かったせいか、「ただ単に疲れてるだけ」と思っていました。そんな私でしたが、自分がまさか「うつ」になるとはその時も思っていなかったのです。だからその変化が異様なものとは気づきませんでした。

こうなると不安で不安で朝がつらく、出社がつらく、夜はそれをごまかすように飲みにあけくれ、日に日に朝がだるくなっている悪循環に陥ったのです。しかし、日中は不安を感じている場合じゃなく、矢継ぎ早に課題が降ってくるのでそんな不安がかき消されていたのです。だから不安が蓄積していることに鈍感になっていました。

タイミング悪く、とても仲良くしていた友人と大喧嘩しました。銀座の飲み屋さんで、他の仲間たちもいる前でお互いどなりちらしました。あれほど、仲がよかった大親友だったのに、一瞬で絶好状態に陥ったのです。そのきっかけは「部下」についてのお互いの考えの違い。(蛇足ですが、その後、信じていたその友人からSNSで私の悪評をつかれました。たまたまですが「あいつはいつか落ちぶれる」と。本人は私の状況を知る由もなかったのですが、たまたま偶然が悪く重なりショックでした。でも、それも私の「被害妄想」がそう思い込んだのかもしれません。でも、もはや修復する気力も、気持ちも私には働かなかったのです。)

これを起点に仕事だけでなく、プライベートも完全に自分のペースを失いました。

仕事で相談できる人がいなかった(自分で遮断)のに、プライベートでもいなくなる。四方八方ふさがれ、完全にそんな中で私は精神的に疲れきっていました。めまいがするようになりました。このあたりからその変化が異様なものと気づきはじめました。そして、それを自覚するとともに不安が日に日に大きくなっていきました。うまく言えませんが、不安が独り歩きしながら勝手に肥大化していったような感じです。

金田の人生戦略ノート: 「最近だるいな」はすでに手遅れ
自分自身の経験上、「メンタルヘルスになっている本人はそれに気づかない」のです。特に、優秀と言われてきた人ほどそうでしょう。つまり、「メンタルヘルスかな?」「最近体がだるいな」と思ったころにはすで手遅れなのです。ただ疲れてるだけではなく、体に症状が出たら危険信号。すみやかに自然に触れ体を休めるか、病院に行くべしです。上司になる人はその変化に誰よりも適切に対応しなければなりません。手遅れになるのです。
ちなみにお酒によるノミニケーションやガス抜きはメンタルヘルス学的にはストレス改善の効果は全くないようです。組織や周りのメンバーとのコミュニケーションに重きを置き、自分や周りのストレス発散を主目的に置かないようにしたいです。

 

まさか自分が!?

私は突然会社に行きたくなくなりました。正確には、体をひきずって会社に出社していたのです。

ニンニク点滴を打ちながら、体を引きずって会社に行くことが何度もありました。症状としては、頭痛が激しく、体が重たく、熱っぽく、何よりも頭がまったく働かないのです。精神力だけで1ヶ月近く会社にいた状態です。

そんな中、たまたま社内メールで流れてきたヘルスケアセンターのストレス診断。普段はそんなメールに目もくれなかったのですが、自然と食いついて、すぐに予約の返信をしました。そこで、会社の産業化医に会い、簡単なストレスチェックの後、医者を紹介されました。人生初の精神科医。そこに行くこと事態で正直、私のプライドは大きく傷つけられました。

「自分はうつじゃない」と思い聞かせながら病院に向かう自分に激しい怒りを覚えました。

あの病院でのシーンは今でもはっきり脳裏に焼きついています。

受付を済ませ、待合室で待機している間、私は会社のメールをチェックして、一つ一つの進捗が心配で仕方がありませんでした。ふと視線を上げると、様々な患者さんがいる中でサラリーマンは私だけではないことに気づきました。初めての精神科、こんなにもスーツを着たサラリーマンが大勢いることに衝撃を受けました。その中には、会社では「切れ者」のような方もいました。

「まじめで」「優秀な」人ほどメンタルヘルスになりやすいと聞いたことがあります。日本に蔓延するメンタルヘルスの実態、それを目の当たりにしたのです。私の不安はだんだんと増してきました。

どれくらい待合室で待たされたのか・・・診察予定の2時間後くらいだったでしょう。かなり予定より待たされた記憶があります。ようやくお医者さんから「金田さん」と呼ばれました。

精神科医に今の症状や職場環境をいろいろと質問されましたが、初対面の人に対して、ましてそれなりにプライドのある私が自分の状況を筒抜けで伝えることには抵抗がありました。確かに、これまでたくさんの精神患者を診てきたでしょう。しかし、わずか数十分で私のことなんてわかるわけがない。思ったよりもあまりにも短い時間で診察が終わり、私は唖然としました。

「抑うつ状態」と診断されました。

その一言で一気に谷底に落とされたくらいショックでした。まさか「自分がそんなことになるはずはない」。しばらく呆然として、その日は何もする気がなくなり、近くの飲み屋でやけ酒をしました。

金田の人生戦略ノート: 「できる人」はストレスによるリスクが相応に高い (再掲)
うつ病になりやすい人は、真面目、几帳面、がんばり屋、責任感が強く、他人への配慮を人一倍するような人と言われています。このの傾向は「できる人」に見られるものです。つまり、「できる人」はストレスによるリスクが相応に高いということです。自分はできる人でいたいので、これからもストレスから避けられないと覚悟を決めました。少しでも「自分は結構いける」と思う人は確実にその対策を身につけておくべきでしょう。

 

瞬間にしてすべてを遮断される

次の日に会社に行き、産業医にそのことを伝えました。会社に対して、自分の声で自分が「うつ」と診断されたことを伝えるのはとても辛いものです。

産業医から、すぐに会社を休むように指示が入り、これまでの仕事を一切シャットダウン。社内携帯(社外からでも社内メールが見れる)も取り上げられました。

これまで仕事漬けだった私ですから、自分から仕事が「一切」切り離されることなんて想像もしていませんでした。当時の私には、それは「一切」というよりも、この会社で「一生」仕事が切り離された感覚でした。

想像してください。

あなたの明日からの会議が一切なくなり、メールもなくなり、現在進行中の企画に全く関われなくなる。自分の仕事にも、部下にも、一切の関わりを断絶される。安易に考えると、「明日から思い切って休めるからラッキー」くらいに感じますが、自分にとっては「当たり前」だった日常から完全に切り離される時の恐怖・・・それはすさまじいものでした。いつ復帰できるか、そもそも復帰させてくれるのか、全く保障はなかったのです。

部下や他関係者に「一言話しかけるきっかけ」すら作れずにそのまま家に帰宅し、その日から完全に仕事から切り離された生活を過ごしました。仕事や部下、みんなのことが気になって、気になって、一睡もできない夜を過ごしました。

自分を信じて付いてきてくれる部下とも完全に遮断され、明日から彼らは誰を、何を信じていけばいいのだろう? 自分がしっかりしないからその分皆が犠牲になる。私の当時の部下は全員私より年上の人が多かったです。お子さんも受験を控え、ご家庭環境も私よりも成熟されています。

そんなことを考えていくと、悔しさとともに悲しみがこみ上げ、涙がとめどなく溢れてきました。

がんがん山頂を目指してきた過去の栄光が、一気に断崖絶壁から突き落とされた感覚。その時の私には、「明日」を考える余裕は微塵もなかったのです。

金田の人生戦略ノート: メンタルヘルスと人事戦略
メンタルヘルスやカウンセルが企業に定着しない、成功しない原因は、HRM(人事戦略/人事管理)含めた対応になっておらず、現場任せになってしまっているからです。人事戦略における「評価⇒報酬⇒育成⇒配置」のプロセスに応じて、メンタルヘルス対応を連動させなければなりません

 

次頁に続く。いよいよこうした経験からの気づきです。たくさんの大切なことに気づきました。

 

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今日も明日も、あなたにとって、私にとって、よい一日でありますように!

お互い切磋琢磨していきましょう。

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